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閉所恐怖症 その7

(その6からつづく)

閉所恐怖症が起こってから、ある程度パニックをコントロールできるようになり、生活上はほとんど問題はなくなりました。気が付くともう20年近くが経過していました。ただ、まだパニックは起こることはあるので、心の奥底の方では不安も感じていました。


そんな時、現在一緒に働いている副会長(女性)が50歳を過ぎて自動二輪車に乗りたい。子どものときに家族に反対されて乗れなかったので、免許を取って乗る!と無謀なことを言い出したのです。私は高校、大学生時代にバイクに乗っていましたので、バイクの危険性はよく知っています。私自身事故で入院した事もありますし、モトクロスという競技で前を走っていた方が高く飛びすぎて着地に失敗してお亡くなりになったこともありました。 


バイクは、運転技術も安全運転をするための方法もキチンと学ばなければ乗ってはいけない乗り物です。特に教習所しか経験のない女性の初心者が一人で乗るのはとても危険なので、私が伴走することにしました。


私もバイクを購入することになりヘルメットなどの装備が必要になりました。問題はヘルメットでした。ヘルメットは、頭から顔が覆われるので、パニックが起こらないかな?という不安がありました。ですのでジェット型のヘルメットを購入しました。このタイプは、顎がおおわれていないので、安全性には欠けますが、解放感があるのでパニックが起こる可能性は低いです。ヘルメットをかぶってみるととてもマッチングして、楽しくバイクを運転できました。

 

しかしそのうち、より速いバイクに乗りたいという願望が出てきて、バイク店で親しくなったライダーや現在の弊社の顧問弁護士に勧められるまま性能の高いバイクに乗り換えてしまいました。そうすると一般公道では性能が出せず、サーキットを走行したいという気持ちになってきました。サーキット場を走るためにはフルフェイスという顎まで覆われた安全性の高いヘルメットが必要です。


このヘルメットですと狭くて囲われる空間になるので、パニックが怖かったので躊躇しました。しかし命を守るための装備なので、勇気を出してヘルメットを購入してえいっと被ってみました。はじめ一瞬だけ不安が出たのですが、ヘルメットを被ってバイクまたがると不安が全く気にならなくなりました。かえって安心感が出てきました。サーキットでは、300Km/h近くで走りますから命懸けでもあることから、このヘルメットの圧迫感が実は自分を守ってくれるのだという実感から認知の変化が起こったのです。


当然、サーキットで着用が義務付けられているレベルのヘルメットやレース着、ブーツなどがいります。それで身を固めて実際にサーキットで走行してみると、あら不思議!それ以降、閉所恐怖症が寛解して行きました。私の認知システムが変化したのだとわかりました。案外単純でしたが、意味は大きかったです。実戦の中で寛解することを改めて学びました。


そして、その当時ダイアログ・イン・ザ・ダーク「対話のある家」という催事が大阪で行なわれていました。副会長に誘われてお邪魔させていただくことになりました。これが、本当の意味での恐怖症の克服の力になったのです。(つづく)


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