· 

閉所恐怖症 その5

(その4からつづく)

閉所恐怖症の克服をめざしてから、ここまでくるのに10年ほどかかりました。パニックを防ぐための条件がわかり、予想ができるようになったので、日々の生活ではあまり問題を感じなくなりました。しかしパニックになることを予測できても、精神的にはいつも不安は残っていますので、やはり寛解を目指して頑張ろうと思っていました。段階的戦略を改めて立てることにしました。


まず明るい部屋なら小さな部屋でも大丈夫になりましたので、次に目指したのは中程度の怖さの克服です。相変わらず広い部屋でも暗くなると怖くなりますので、これに挑戦することにしました。例えば映画館や舞台などでもパニックが出ることがあり、行くことを差し控えていましたが、楽しめないのは人生上悔しいので、ここから挑戦することにしました。


まずは、演劇からです。大阪出身なので久しぶりに吉本新喜劇から始めることにしました。会場もほんの少し暗くなる事もあり、少し汗が出ましたが、相変わらずの展開と役者さんのパワーで、独特の喜怒哀楽を楽しんでいるうちに、パニックを忘れることができました。会場が少し暗くなっても劇が明るい内容なら耐えれることがわかりました。


次は、夜の落語に挑戦してみました。大阪には繁昌亭という大阪天満宮の横に落語の劇場があります。気楽に楽しめるところです。ここでも、上方落語を聞いていると最初は少し緊張するのですが、話に引き込まれていくと普通に楽しめました。これで少し自信がつき、関西の劇場で様々な公演を申し込みました。


音楽から演劇まで鑑賞しました。音楽も暗い中で始まる公演が多かったのですが、お酒を楽しみながら参加すると大丈夫でした。しかし、社会的な問題などを扱う演劇関係は座席付近は暗いうえ、単調なパターンを使って何かを強調する表現にはストレスがかかり、汗だらけになるのです。席も真ん中あたりはいざという時に出にくいので地獄でした。


この時、初めにストレスを感じたビックリハウスと同じ条件で恐怖が蘇ることが分かりました。暗さの中で繰り返される単調な音や単純な視覚刺激が入るとパニックが起こります。これは厄介であると思いました。しかし、曝露法や認知行動療法的に対応していく方法しか思いつかないので、そのまま新しい戦略で挑戦を重ねていきました。なかなかうまくはいきませんでしたが。(つづく)


©️ 薫化舎 無断転載禁止