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食欲

食欲に問題があることは、昔から社会適応上の一つのリスクであると指摘されてきました(科学的研究においても指摘されています)。健全な生活と食事は子どもの時からとても大切で、忙しいからといって手を抜くと、様々な問題が出ることがあります。


特に子どもの時から糖質の多すぎる食事をとると、様々な問題へとつながります。まずこのような食事は血糖値が急激に上昇してその後急激に低下します。この血糖値の乱高下(スパイク)が空腹感のもとになり、それが過剰な食欲につながりやすくなります。肥満などの原因になることもありますが、このスパイクによってイライラしやすくなり攻撃性が高まったり、食べすぎて物事がめんどくさくなって回避的な行動をとりやすくなったりします。これが結果的に不適応リスクを高める要因となってしまうことさえあります。


また、最近では夜遅くまでゲームをしていたりして、寝不足になる子どもも増えていますが、睡眠不足は、食欲を抑制するホルモンであるレプチンを減少させます。それだけならいいのですが、食欲を促進させるホルモンのグレリンを増加させてしまいます。それにストレスが加わると、コルチゾールというホルモンが分泌され、食欲が増加します。これも問題ですね。


また、遊びに熱中して食事を取らずに夜更かししてゲームをすると、ブドウ糖が足らなくなり疲労感やイライラ、集中力低下を引き起こします。かえってスパイクも起こりやすくなるだけでなく、必須栄養素までも不足するため、免疫力低下や貧血、骨粗鬆症になることもあり、風邪をひきやすくなります。不登校や問題行動を起こしているお子さんの生活をよく見ていると、このようなことを知らずに不規則な生活や栄養面などからも余計に問題をこじらせていることが多いです。


加えて、あまり食事を食べない、食べられない子どもさんも社会不適応上のリスクが上昇することがあります。間食などの環境的な要因でお食事の時間にお腹が一杯になってきちん食べられないこともあります。これも規則正しい生活をできていないことが要因で、様々な問題を引き起こしていることもあります。本人やご家族は、食事の大切さをわかっていても理由がわからないため、そっとしてしまうことも多いのが残念ですね。


食事をあまり食べない場合も脳へのエネルギー供給が低下して、ストレスホルモンである、アドレナリンやコルチゾールが分泌されやすくなります。これがイライラや攻撃性を高めます。加えて食事量が少ないと気分を安らげる働きのあるセロトニンも減少しますので、気分が不安定になりイライラしやすくなり、学習面や対人面でも問題が出てきます。偏食がある場合は別ですが、規則正しい生活を心がけて、食事を3食取るようにしていただければ、少しずつ安定してきます(偏食のある場合は、認知リフレーミング技術で対応できますので、ご相談ください)。

 

このように食欲は大切な欲求でもありますので、コントロールができるように子供の時からできるだけ、規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけていただければと思います。いったん崩れると脳機能の問題も絡むようになるので、専門的な介入が必要となります。そうなる前に、こつこつ地道な日常生活のパターンを作ることが重要です。頑張ってくださいね。

 

 

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