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マッチングしないとなぜプログラムをご提供できないのか?

日曜、祝日はブログを休ませて頂いていますが、その間にもお問い合わせが来ますので、それらのご質問もここでお答えできればと思います。


今回は、薫化舎のプログラムは、なぜマッチングしないとだめなのか?というご質問にお答えしたいと思います。以前、マッチングとコストベネフィットアナリスのお話は書かせていただきましたが、もう少し違う角度からご説明したいと思います。

弊社のプログラムは、発達障害の方の社会適応について、予後の推定を行えるとの評価を専門家の先生方からいただいています。特に弊社は社会的企業でもありますので、プログラムをご提供するには、有効かどうかの効果予測が大切です。たとえば、弊社は就労までプログラムターゲットにしますが、公務員や専門職などの正社員に就かれると、日本は雇用が守られていますので、ベネフィットの確実性が高まり効果予測の精度は高くなります。


また、クライアント様にとっては、プログラムのご購入は一種の投資でもあり、効果のコスト・ベネフィット分析(費用便益分析・CBA)を行う必要が高いからです。クライアント様の抱える社会的課題を解決するためのプログラムのコスト(費用や犠牲)とベネフィット(利益や効果)について分析計算して、それらを参考に意思決定をしていただくことはとても大切なことです。


具体的には、特に心理検査のデータや特許技術である特性情報収集装置で各能力の可塑性の測定を行います。総合的なデータにより、クライアント様のニーズ(能力開発、社会的自立・非行・犯罪等からの離脱等)に対してベネフィットを出せる可能性を検討し、プログラム選択の意思決定に活用します。

 

この場合のコストはプログラムを計画し実施する費用です。直接コスト(人件費、各種機器等)の直接的にかかる費用と間接コスト(管理費、特許使用料等)、機会コスト(他社のプログラムなどの選択肢から得られたであろう利益)などがコストです。金銭的なコストだけでなく、時間や労力、機会損失なども含まれます。

 

一方ベネフィットは、プログラムを行うことで得られる利益や効果になります。金銭的ベネフィットは、生涯賃金の上昇、生産性の向上による金銭的リターン、非行リスクの低減によるコスト削減などです。非金銭的ベネフィットは、社会的スキル向上、自尊心の回復等の心的安定、学習能力やセルフコントロール力の獲得、家族関係の回復等が挙げられます。

 

このようなコストとベネフィットを比較し、コストがベネフィットを上回ることがプログラムご提供上重要になってきます。しかし、クライアント様のご相談内容は、能力開発や発達障害や非行問題の克服になることが多いので、リスク-ニーズを捉えることが重要になります。リスクの影響度の高いものをターゲットにします。これはニーズでもあり、ある社会的課題を全体集合とすると、部分集合でもある各リスクが特定できます。特に、認知バイアスとその要因となるリスクは、影響度が高い傾向にあるので、主たるターゲットになります。

     

より詳しくご説明すると、薫化舎の特許技術である「特性情報収集装置及び方法」を活用し、個人の認知バイアスを詳細に測定します。そして、特に視覚認知機能の偏りを定量的に把握することで、学習能力や思考傾向、行動パターンなどを分析し、将来的な行動や状態を予測します。この技術により、個人のリスクやニーズに応じたプログラム設計と評価修正が可能となり、より効果的な介入が期待できます。

そして、この技術を活用してプログラムマッチングすると、社会的課題の解決率が当社データ上は90%以上の成功率まであがります。そこで、ニーズに対するプログラム配置を効率的に行い、コスト計算を行い、ベネフィットも投資コストに対して、生涯賃金予測でリスク大の場合でも15倍以上の金銭的ベネフィットを求めます。また、それ以外のリスクの場合は50倍から100倍程度を目指します。非金銭的ベネフィットは、資格取得などによる成功体験やスキル獲得、学歴の取得、対人関係能力、セルフコントール力や社会的資本の配置などを準備します。

これらは、基本的には正社員としての自立をターゲットにしていますが、重い精神関係の課題がある場合でもマッチングさえすれば、福祉就労でも社会保険がつくタイプのライフコースへと導いて、課題を克服して自立をめざすようにプログラムを設計します。

しかし、マッチングしない場合は、コストに対するベネフィットの有効性を何に求めるかによっても決まりますが、私たちの現在の技術水準では、プログラムを作れない場合もあるのが現実です。やはり限界もあるので、マッチングはとても重要な指標になるのです。ご提供できない場合は申し訳ないのですが、何卒ご理解賜れればと存じます。よろしくお願いいたします。

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