· 

子どもの偏見を正して欲しい

最近のご相談で増えているのが、子どもの外国人に対する偏見が強く、極端なことを言うので心配。というものです。親子喧嘩になることもあり、こんな偏った子どもに育てたつもりはないと悲しまれてこちらに相談に来られます。


弊社に来られる子どもさんは、基本的には犯罪的思考や確証バイアスなどの認知バイアスの強い方が来られるのですが、最近は、偏見などの差別的な思考に対するご相談が増えています。


このような子どもさんたちとお話をすると、SNSなどから偏った情報を得て、事実や客観性を確認しないまま感情に基づいて、非合理的な思考を形成していることが多いです。また、ある国の人たちは全員同じような問題を起こすなどという固定観念を持っていたり、一部のSNSのフェイクな写真などの情報からその国の人たち全員に否定的な感情をもつようになっていたりしますね。


そういう時は、偏見となるお話をゆっくりと聞きます。非合理性については、まずファクトとオピニオンの分析を子どもさんと一緒にして、客観的な視点を確認していきます。そうすると、少し自分の考え方のバイアスに気づいてくることもあります。


次に、因果関係や矛盾などを分析して、論理的な思考を確認していきます。偏見の情報源から原因と結果が結びついているか?矛盾していないか?など子どもさんといっしょに考察していきます。偏見となる情報源はほとんど因果関係で矛盾していることが多いので、驚かれることも多くあります。当然、批判的吟味能力も同時に磨いていきます。


最後に、偏見やバイアスは、集合論的な説明で理解してもらいます。偏見や極端な言説は、部分集合を全体集合に置き換えて主張されることが多いので、数学的な論理で説明します。たとえば、犬の全体集合は、地球上に存在するすべての犬の集まりですね。部分集合は、全体集合の中から、特定の条件を満たす犬だけを集めます。部分集合の例は無数に考えられます。犬種ならチワワの集合とかダックスフントの集合とか。年齢なら子犬の集合とか老犬の集合とか、性別なら雄犬の集合と雌犬の集合などいろいろな部分集合は考えられます。


ところが、部分集合を全体集合に置き換えると、情報の損失が起こることもあります。犬の全体集合を雌犬と置き換えると、雄犬の情報が消失しますね。また、部分集合のある国の特定の地域の意見を全体集合である国家の意見として扱うと誤った結論が出てしまいます。


偏見や思考のバイアスは、このような仕組みから生まれることが多いのです。特に集合論で世の中を俯瞰してみると矛盾や誤謬がよく見つかりますね。偏見などが生まれてしまうのは、批判的吟味能力や情報処理の未熟さが要因となって、バイアスなどが生まれることから起こりやすいので、子どもの話をよく聞いて、対話することが大切です。ご参考までに。



©️ 薫化舎 無断転載禁止