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意味わからん(関西の言葉で)

問題児や非行少年とされる方々から、「意味わからん(関西弁、いーみわからん!と発音します)」。一般的には、反抗していると見なされますが、実は本当にわかっていないことが多いのです。


例えば、窃盗をした少年に簡単なルールの話をしてから、人の物を盗んではいけません。とお話をすると、ここで意味わからん!という言葉が返ってくることもあります。普通、指導者からは子どもが反発的だと捉えられて、怒られることもありますね。態度も確かに悪いのですが…。


しかし、少し深く向き合って何がわからないのか教えて欲しいとお願いすると、「わからないものはわからない!」との反応がかえってくることが多いです。それでも、あなたのわからないことを理解したいから、どんなことでも良いから教えてください。というと、少し戸惑って、「全部」などのこたえが返ってきます。全部は本音でもあり、ここまでくるとゆっくりと、にこやかに話せるようになってきます。


そしてたとえば、盗むという意味はわかりますか?と聞くと、しばらく考えてから、「貰うことです。」ということもあります。どうしてそう思うのですか?「お父さんから盗むという意味は貰うことと教えてもらいました。」などとの説明が返ってきます。そうすると、人の物を貰ってはいけませんと理解しているのかと聞くと、「そうだと思うのですが、なんかみんな盗んではいけないと言うのでそれはいけないことだと思うのですが、別に貰うのだからなぜかよく分かりません。」と混乱していることも結構ありました。意味がイメージレベルで混乱していることもあります。窃盗に対する罪悪感をあまり感じないのです。


これは、言葉の意味をはじめに提示された情報だけに依存していて、そのまま言語レベルでバイアスが派生して、このような窃盗などにつながっていることさえあります。わかりやすく絵に書いて彼を主人公にして自分の物を取られることを金銭的にも説明してあげると、びっくりして反省が進む事もあるのが現実です。


普通は、簡単な言葉は子どもたちが当たり前に理解しているとの前提で指導されていることも多いと思いますが、反抗的な反応ほど詳しく言葉の理解までの確認が必要なケースもあります。


そのほかにも山ほどこのような事例はあります。意味わからん!などという子どもの中には本当に意味の混乱を起こしている事も多くあります。反抗的と捉えず、粘り強く子どもと対話してください。子どもの世界は意味が混乱しているから、本当に意味がわからないのでは?との視点も大切にしていただければ、子どもとの関係が深まりますよ。


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