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発達と相貌失認

発達に課題のある方は、お顔の識別や認識が難しい方が案外多くおられます。相貌失認症との診断を受けて相談に来られる方もおられます。しかし、本人は見えていると思って生活してきておられる方がほとんどです。

発達に課題のある方の場合、生まれた時からそのような視覚認知の世界で生きてきておられるので、自分以外の人も同じように見えていると思われています。例えば、顔は認識できないのですが、顔のパーツ(目、鼻、口、シワ等)は見えています。見えていても脳内で統合できないので、顔として認識できません。例えば自閉と言われる方が目を合わせられないのは、パーツだけ見えているため、目の奥を見ようとして、気持ち悪くなって見れないこともあります。

そのような方は、時計や立体物の認識も難しい事が多いのです。認知リフレーミング®︎技術で見えるようになると、自分の視覚認知の問題である事がわかり、今まで周りの人は皆天才だと思っていたのは、実は、普通のことだったなど気づき、劣等感などが減少します。

また、特にソーシャルキュー(社会的合図)の読み取りが困難だったので、学習障害やADHD、自閉症などの症状と同じ社会性をはじめとする様々な問題を抱えておられることが多いのです。認知リフレーミング技術で相貌失認状態を改善させるとそれが時間と共になくなっていきます。これに適切なプログラムをご提供すると自己肯定感も回復し、表情も感情も思考も安定してきます。

ただし、見えたからといって単純に学力や対人関係能力、認知バイアスなどは、そう簡単に修正できません。ここから教育、訓練でこれらをアップデートしていく必要があります。これらを含めて認知リフレーミング技術となります。

私は、何十年も相貌失認への改善のためのプログラム開発を行ってきましたが、基本的には、網膜の情報処理の問題と紡錘状回との問題があるとの仮説に至って対応しています。相貌失認の程度にもよりますが、網膜反応への介入で対応可能な場合は、弊社の特許技術で測定し反応がでればビジョントリートメント®︎プログラムで改善できます。軽い相貌失認のケースならこれで対応できます。

また紡錘状回系にも対応できますが、重いケースが多く、私にしか実践対応ができないため、プログラムコストがかなりかかってしまいます。見えてもその後の変化とそれに対応する言語から社会性まで対応する科学的、数学的専門技術が必要で何年も時間がかかるからです。現在のところ限界がありますので、個別にご相談いただくしかありません。今後、死ぬまでにどこかの研究機関等と協力して治療法とトレーニング法までに高めたいと考えていますので、よろしくお願いいたします。

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