例えば、非行少年とされる方々にお話を聞いていると、ほとんどの方が合理化(ともだちに誘われたから、学校が悪い、親が悪い)などの自分の行為を正当化したり、責任回避や責任転換をしたりします。これが認知バイアスとしての犯罪者的思考のパターンといわれるものです。発達に課題のある方も、だいたい同じような合理化を行う事があるので、残念ながら昔は発達障害が非行の原因とされてしまうこともありました。
このような認知バイアスには、認知行動療法のメカニズムを活用してプログラムを作ります。たとえば、認知再構成といって非合理的な考え方を合理的な考え方に導いていくことを目指します。合理化は非合理的な思考パターンなので、それを合理的な思考へと導きます。
基本的には、モデリングを行い、行動を実際に行なって問題解決し、認知再構成へと導いていきます。確かに、発達に課題がなく、環境からのリスク要因が高いケースには、効果がでやすいのですが、そうでないと、かえって悪化してしまうように感じることも経験しました。
うまくいかなかった方々とお話をしていますと、モデリングのレベルからエラーが起こっていることが多くありました。ワークショップなどで他者の行動を観察してもらうのですが、頓珍漢な観察や分析が多発します。言語レベルからの取り間違いや、行動を見ていても、好意的なジェスチャーや表情を悪意と捉えていたりするのです。
これでは、認知行動療法どころではなくなります。自己解釈が吹き荒れます。医学的には自閉症とかに分類される事がありますが、話や表情などを深く観察すると基本的な社会性はあります。なぜこのような言語レベルや観察レベルからコミニュケーション上の問題が起こるのかということを疑問に思っていました。
研究を続けていくと、視覚認知レベルからの問題があり、光から得られる情報処理のバイアスに気づきました。そこで、開発したのが特許の特性情報収集法です。これで視覚認知バイアスが測定できるようになりました。様々な認知バイアスが形成されていく中に、環境や学習だけではなく、バイオのレベルからバイアスが起こっている方々がおられることを見つけました。ですので、現在は、このレベルから認知バイアスに対する介入プログラムをご提供できるようになりました。
まだまだ研究しなければならないところもありますので、今後も効果的なサービスとして開発を継続していきます。ご理解のほど、よろしくお願いいたします。
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