しかし、問題行動のあるお子さんは、このような環境フィードバックと言われるような、しつけ教育は効果を得ることが難しいです。しつけは古典的条件付けの学習やオペラント条件づけなどを皆さん知らずに活用していますが、問題行動を起こすお子さんはこれが効きにくい傾向にあります。ですので、しつけや一方的な指導では効果を得にくいため、次第にお互いに感情的になるなどの問題が積み上がってきます。
こういう時は、指導の戦略を変えてくだされば、少しずつ、問題行動が減少してきます。発達障害がある場合でも家庭内での指導である程度は改善します。ポイントは、子どもの考え方を理解するために、行なった問題行動を叱るのではなく、なぜ行なったかを聞いてあげてください。そうするとエラーの原因がみえてくることもあります。それを理解するだけで、対応策が見えてきます。
そして、ここからが大切なのですが、子どもの生活を指導するのではなく、生活が子どもを指導してくれるという視点に変えます。朝早く起きなさいという指導をお父さんもお母さんも朝早く起きてるよ。と当たり前の事を言語化してあげます。そうすると起きたくても起きれない。というような反応が出ることがあります。その時、頑張れなどと励まさないのがポイントです。一緒に起きれない問題を考えようね。という姿勢で対応していきます。この瞬間、生活を指導するのではなく、一緒に生活そのものが指導してくれるようになり、認知行動療法のシステム構造へと近づきます(どうしても起きれない場合は医師やこちらにご相談くださいね)。
そのほかも、物をなくしたりすることもありますが、お父さんやお母さんがどのように工夫しているかを生活の中で見せてあげることが大切なんですよ。そこに考え方(思考)が見えるわけです。しつけや指導は、刺激⇄反応という仕組みだけなので問題行動を起こしている子どもには効きにくいのです。そして、お父さんやお母さんのマネをしてくれて、成功したら思いっきり褒めてあげてください。ただし、褒めるだけでいいです。次もがんばろうは禁句です。
何でも褒めようなどという言説もありますが、エビデンスレベルの研究では、目標や問題解決が本人の努力で達成した時に褒めると規範意識や自己肯定力が高まるということが指摘されています。何でも褒めると悪化することも指摘されていますね。
このように、生活が指導してくれるという視点で問題のあるお子さんを育てていけば、成長して自分の自尊心、問題解決能力が涵養されていきますので、ご参考までに。
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