しかし、ご相談の多くは投資がやめられない。なぜ負けたかを知りたい。依存しているのが怖いとのことなので、ギャンブル依存的な認知行動対策の方向からお話をお聞きすることにしています。
ご相談に来られる方は、FXやビットコインの有料講習をうけておられて、そこで学んだ方法で投資(投機)をされていることがほとんどです。一流企業や公務員、教職員関係の方が定年退職後は、トレーダーとしてのんびり生活したいとのお気持ちで始められることが多いですね。
まず、動機や実際の投資生活の状況をお聞きして、どのような投資行動が行なわれているかを分析していきます。また、学ばれた投資技法を確率論的に分析も併せて行います。
皆さん本当に性格の良い方が多いので、倫理性や動機のレベルは高いですね。投資(投機)は自己責任で自分との戦いであるとのお考えをお持ちです。相場との戦いは自らをより高めるというお考えもあり、それに自己満足や効力感も感じられています。
倫理観は高くても、たまに大勝することもあります。その時の高揚感と自己判断での勝ちの喜びが忘れられなくなります。すぐに次の勝負をしたくなります。FXなどはある意味で24時間取引ができることもあり、東京マーケットからロンドン、ニューヨークまで睡眠を削ってまでのめり込まれる方もいます。
しかし、現実は皆さん失敗された方ばかりなので、倫理観が高くても現実は厳しいです。ですので負けた原因の一つである投資方法を分析します(学習で得た思考パターンの分析になります)。
相場は基本的に会社を通すので、取引手数料(控除料)がかかります。これの値段で勝利の確率が変動します。基本的に手数料がある限り、相場に参加回数が増えるほど元金が減少します。マルタンガールの法則やシステミエという資金配置法などもありますが、そんなに簡単には勝てません。
加えて、さまざまな相場チャート分析も使われているので、一見高度に見えますが、手数料から逃げられず基本は同じです。そのような数的な視点で皆さんが教えられた手口(1,000,000円以上お支払いされている方もいます)を分析します。
特に教えられている利益確定と損切りの方法を分析するとよく問題が見えてきます。方法によっては、このようなやり方を毎日半年も続けると預けたお金の半分くらいになります。実際はそれ以上に負けている方もおられますが…。こうなるともう依存的に相場に参加されているので、自分に負けたくないので、負けた分を取り返そうとして、大きく負けることが増えて結果として資金が減少します。
FXなどの追証(追加証拠金、商品先物取引と同じような仕組みです)などで、ボロボロになってその時に、初めて破産の危機に気づくこともあります。そのような危機の発生は、講習会で教えてもらっているのですが、対処法についてはどこにも書いていないのが実際です。どうして良いのかわからなくなってこちらに相談に来られるのです。
勝てない方法で相場に参加されているので、すぐにやめるべきなのですが、それの判断もできなくなっている方も多いです。ですので、お辛いのは我慢していただいて、学ばれた投資方法(投資の思考パターン)を分析して勝てないことを証明していきます。皆さん元々、人格も能力も高い方なので、納得されると、驚くと同時に目が覚めたとおっしゃってくださります。反省され今後のことを自分で考えて行こうと言う姿勢へと戻られます。
中には、勉強し直して、自分で分かるようになったら少額でリベンジしたいという方もおられますが、それもある意味での認知バイアスから解放されていることになりますので、よかったと思います。
投資や投機はとても難しいです。甘い言葉に乗らず、決して無理をされないことが大切です。確実に勝つ方法は、普通には売られていないと思います。特に資金の少ない私たちにはトレードは難しいですよ。ご参考までに。
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