こんな時どうするのが良いのかという悩みには、医学や心理学、教育学などの分野から様々な専門的なアドバイスが出てきます。子どもの個性を認めましょうとか、他の子どもとは比較しないようにしましょう。怒らずに話を聞いてあげましょう。お母さんも色んな趣味を持ちましょう。などのアドバイスで多くのお母様は癒されていると思います。
これらのアドバイスは発達障害は治らないから、子どもの障害を受け入れて幸せな人生の在り方を求めていくという考え方が根底にある事が多いですね。その場合は早く福祉システムを活用したライフコース設計を行いやすいので、保護者の立場からすればとても有難くて受け入れやすいと思います(子どもさんなどのご本人は、なかなか受け入れられないことも多いので、難しい選択を迫られるのも事実です)。
このような専門的なアドバイスは、確かにとても有難いのですが、何十年も彼らと共に人生を歩いてきた私には、少し物足らなく感じることもあります。心の問題や学習の問題に対応することはとても大切ですが、将来の自立を考えたときに、もう一つ気にしていただきたいのが体力なんですよ。
自立するためには就労が重要です。福祉コースを選択した場合は福祉就労サービスを活用する事ができますので、人生コース上の不安は減少します。しかし、本当に福祉コースで満足される方ばかりかというと、一般就労がしたいという方々もおられます。私は、その希望をかなえるビジネスモデルを追求してきました。発達障害という概念がでてから、ヘルスケアや人権保障という意味ではとても良い反面、彼らの職業選択が狭まった印象があります。
現実の社会では、第一次産業、第二次産業、第三次産業、第四次産業など幅広い領域でお仕事があります。発達障害があってもその産業分類の中で本人にあった仕事がある事が多いのです。例えば、読み書きは苦手だったが造園業に入り、技術を磨いて会社を起業して成功されている方や、対人関係が苦手で、知的にもしんどかった方が、採掘業で人材として重宝されるなど発達に課題や障害があっても立派に自立されている方々も多く存在します。発達障害の概念が広がる前はうまく仕事に就けて、熟練して行かれた方も多くおられました。
しかし、発達障害という考え方がリテラシーの高い階層から広がっていったように思います。そうすると子どもさんがその階層に属する仕事に適応できるかできないかが大きな主題になります。今でも基本的に、こちらにご相談にこられる方は医師、看護師、弁護士、教師などの専門職、企業に勤務されているサラリーマンや経営者の方が多いのです。
子どもさんがその世界やそれに隣接する領域で適応できるかどうかが、潜在的な基準になっている事が多いのが現実です。それゆえ学習能力や対人関係能力の向上プログラムがメインになりやすいのも事実です。しかし、案外うまくいかず、教育費などはかけたが挫折して、引きこもりや頻回転職、無職などといった方向へ誘導されていきます。
しかし、そのような学習や対人関係能力よりも全産業で必要とされる体力を育成する方が、合理的でもあります。私は過去に批判をされましたが、体力の強化プログラムに取り組んだ事があります。皆さん学習に課題があったり、注意欠陥や多動などがあった方々でしたが、現在はあの時の体力トレーニングが役に立ってますと正社員として就労して笑顔で訪ねてくれますので、間違いではなかったと思っています。給料も高いので余裕がある生活をされているので、嬉しくなりますね。現代なら福祉就労になる対象かもしれませんが、自分に合った仕事に出会えれば、そちらの方が幸せかもしれません。
体力というのは、現代社会でも経済的な自立にとても重要な要素です。体力トレーニングは、発達に課題があっても幼少期から気をつけていただければ、人生の可能性は広がります。ただ、走り回ったり、じっとしてられないのは、体力があるのとは異なります。体力は、持久力だけでなく、ストレスに対応する力も含まれます。計画的なトレーニングが必要になりますので、勘違いされないようにお願いいたします。
発達に課題のある子ども達は、感覚器の問題から接近できれば、運動能力と共に体力が身についていきます。薫化舎には、その技術がありますので、ご相談いただければと思います。
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