まず、弊社のマルチモーダルとは、医学や心理学、教育学などの異なった複数の学問領域から異なる情報を統合してプログラムを制御して問題を解決するという考え方です。
薫化舎は、もともと少年矯正の専門家の集まりで、当初は少年院勤務経験者を中心に設立されています。皆さんはご存知ないかもしれませんが、これらの行政サービスの根拠となる少年法や私が現職時代の少年院処遇規則などには、医学、心理学、教育学を利用することと明記されていましたので、昭和の時代からある意味でマルチモーダルで処遇することとなっていたといえます。当時の司法関係の方々の慧眼の凄さを感じます。
ただ、実際の矯正教育を実施する少年院には、医学の専門家である医師は常勤で配置されていましたが、心理の専門家はほとんど配置されていませんでした。心理の専門家(心理技官)は少年鑑別所に勤務することがメインなのです。
少年院は、心理技官の方が少年院の法務教官として勤務されていることは、ほとんどありませんでした。
しかし、私が当時大臣任命であった宇治少年院の首席専門官に着任した時(約25年前)、私にとって信じられない勤務環境が用意されていました。理解力の高い院長、次長。京都大学からの医局人事の医師、心理技官である統括専門官(現在の弊社社長)、ネットワークの得意な本省からの統括専門官、私の研修同期の庶務課長、現場の優秀な法務教官(専門官)と一緒に働けることになったのです。
当時、実質150%の収容率で、廊下に布団を敷いて、子どもたちを収容しなければならない状況でしたが、このような優秀なチームのお陰でマルチモーダルなプログラムを展開していけました。
医師による発達障害への治療プログラム。
心理技官による、心理テストや学習障害、ADHD対応の心理テストの導入。
教育としては、非行リスクをターゲットにADHDにも対応したエビデンスベース(EBP)の認知行動プログラム。
学習障害をターゲットとした教科教育と言語システムプログラム。
対人関係能力改善のための一般の方も参加する公開型のワークショッププログラム。
非行リスク対応のインターラクティブを中心とした集団指導、セルフコントロール強化プログラム、運動指導、食事指導などを比較的スムーズに子どもたちに提供することができました。
個別的処遇計画で一人ひとりにプログラムが提供されますので、法律で定められたマルチモーダルの実践が可能となり、とても良い効果を出すことができました。
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